
早番の朝、岡部さんの1日は、6時半に入所者の方々に起床を促すことからスタートします。その後の仕事は着替えや洗顔の手伝い、部屋の掃除、食事のお世話など多岐にわたります。田主丸一麦寮では、こうして朝の準備が整うと、利用者は能力の範囲で、リハビリ効果のある各種作業訓練に向かいます。
その中のひとつ、「療育」が田中さんの担当。重度の障がいを持つ人を対象に、手足の機能を高める運動や絵などの創作活動、リズムとりや歌などを日々指導しています。
もちろん、他にも多くの仕事をこなすため、とても忙しい毎日ですが、二人の顔は常に穏やか。その理由について岡部さんは、「『この人が自分の親だったら…』と考えて接しているので辛くなることはありません。心が通じ合った瞬間の喜びが大きな原動力になっています」と。さらに二人からは「私たちの姿が見えないと、利用者の方が一生懸命に探してくださることも。信頼されている、必要とされていると分かった時に、とてもやりがいを感じます」と続きます。
そんな二人の胸には、筑女時代の思い出が今も生きています。「卒業制作に行き詰まった時に、『ただ笑ってそこにいればいい。何ができるか、先に考え過ぎなくてもいいんだよ』と言ってくださった先生の言葉が忘れられません。福祉を肌で感じることができた4年間でした」と田中さん。岡部さんも「授業がない日でも学校にいたかった。それくらい人間福祉学科は、熱くて活気のある学科だと思います」と笑顔で話してくれました。
最後に、今後の目標を尋ねると、異口同音に「もっと利用者の方々と心を通じ合わせたい。心の底にあるものを汲み取ってあげられるようになりたいんです」という答えが返ってきました。また、後輩の皆さんに対し、「いろんな施設を見ておくことが大事。きっと就職先の施設で役に立つから。それから、資格は在学中に取っておくように!」と、現場を知る先輩ならではのアドバイスをいただきました。
彼女たちの福祉に対する熱い想いは、日々の貴重な経験を糧に、明日へとより大きく膨らんでいるようです。 |