筑紫女学園報/2009年(平成21年)1月30日発行 No67
Chikushi Jogakuen Online Report
 
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京胡と民謡がコラボレート!本学客員教授・呉汝俊(ウー・ルー チン)氏による特別授業を開催。
アジア〜アメリカで幅広く活躍中の音楽家・呉先生
6月19日、本学スクヮーヴァティーホールにおいて、本学客員教授・呉汝俊(ウー・ルー チン)氏による特別授業〜京胡(きょうこ:中国民族楽器)と民謡のコンサート〜を開催いたしました。
   呉先生は、1963年に中国の南京で生まれ、1984年に中国戯曲学院大学を首席で卒業。その後、中国京劇院に所属しながら京胡を主体とした「京胡軽音楽」を創始されました。1988年には史上初の京胡による独唱独奏音楽会を北京で開催。現在にいたるまで、新京劇の監督や劇中音楽の作曲、映画やドラマの出演などにおいて、中国・日本をはじめアジア各地、アメリカなどで幅広い活動を行っています。呉先生には本年度、本学初の客員教授にご就任いただきました。
  演奏や歌の合間に、終始笑顔を交えて参加者に話しかける本学客員教授・呉汝俊(ウー・ルーチン)先生。
京劇の主席伴奏楽器・京胡によるコンサート形式の授業
京胡とは中国の民族楽器で、2000年の歴史を持つ胡弓の一種である弦楽器です。もとは中国の少数民族・モンゴル族の楽器でしたが、250年前に中国の伝統芸術として京劇が成立して以来、京劇の首席伴奏楽器として使われるようになりました。竹製の原始的で素朴な楽器であり、奏者は2本の弦と1本の弓を使いながら、京胡特有の透明感のある高い音色を奏でます。
   今回の特別授業は本学の学生が対象でしたが、事前申し込みにより一般の方々も参加が可能であり、約400席あるスクヮーヴァティーホールは、当日満席となりました。
   白いタキシードに身を包んだ呉先生がステージに登場し、最初の曲『北京の春』の演奏が始まると、ホール内に響き渡る清澄で伸びやかな京胡の音色に、初めて演奏を聴く学生たちも静かに耳を傾けていました。
本年度内に再度の開催を予定しています
今回の特別授業で呉先生は、京胡の解説やご自身の音楽や京劇への関わり、在住20年になる日本、そして故郷中国への思いなどを交えながら、NHK大河ドラマ「義経」のテーマ『夜の詩』を含む全10曲を演奏していただきました。呉先生は「私は音楽を通じて、これからも一生懸命文化の架け橋を作っていきたい」と世界中で活躍するご自身の思いを、私たちに語ってくださいました。
   本特別授業は、本年11月20日にも開催を予定しています。今回と同じように、事前申し込みにより一般の方々も参加可能ですので、詳しい情報は、今後本学ホームページをご覧ください。皆様のご参加をお待ちしています。
(左)中国の民族楽器・胡弓の一種、京胡。透明感のある高い音色が特長。(右)当日(6/19)のプログラム


就職の筑女 O.Gと上司に伺う「筑女生のこと」 Vol.14
本学卒業生をご採用いただいている企業へ伺うこのコーナー。今回は利用者主体の運営を貫く社会福祉施設「田主丸一麦寮」で、知的障がいを持つ利用者・入寮者の毎日を支える本学O.G田中真優美さんと岡部温さん、そして理事長の郷原加珠彦さんにお話を伺いました。
大学・人間福祉学科、平成16年度卒の岡部温さん(右)と平成14年度卒の田中真優美さん(左)とプロフィール

福祉を肌で感じた4年間が利用者と向き合う姿勢の礎に

利用者の方々から喜びをもらっています

早番の朝、岡部さんの1日は、6時半に入所者の方々に起床を促すことからスタートします。その後の仕事は着替えや洗顔の手伝い、部屋の掃除、食事のお世話など多岐にわたります。田主丸一麦寮では、こうして朝の準備が整うと、利用者は能力の範囲で、リハビリ効果のある各種作業訓練に向かいます。
   その中のひとつ、「療育」が田中さんの担当。重度の障がいを持つ人を対象に、手足の機能を高める運動や絵などの創作活動、リズムとりや歌などを日々指導しています。
   もちろん、他にも多くの仕事をこなすため、とても忙しい毎日ですが、二人の顔は常に穏やか。その理由について岡部さんは、「『この人が自分の親だったら…』と考えて接しているので辛くなることはありません。心が通じ合った瞬間の喜びが大きな原動力になっています」と。さらに二人からは「私たちの姿が見えないと、利用者の方が一生懸命に探してくださることも。信頼されている、必要とされていると分かった時に、とてもやりがいを感じます」と続きます。

さらに利用者の心に寄り添う支援を目指して…     

そんな二人の胸には、筑女時代の思い出が今も生きています。「卒業制作に行き詰まった時に、『ただ笑ってそこにいればいい。何ができるか、先に考え過ぎなくてもいいんだよ』と言ってくださった先生の言葉が忘れられません。福祉を肌で感じることができた4年間でした」と田中さん。岡部さんも「授業がない日でも学校にいたかった。それくらい人間福祉学科は、熱くて活気のある学科だと思います」と笑顔で話してくれました。
   最後に、今後の目標を尋ねると、異口同音に「もっと利用者の方々と心を通じ合わせたい。心の底にあるものを汲み取ってあげられるようになりたいんです」という答えが返ってきました。また、後輩の皆さんに対し、「いろんな施設を見ておくことが大事。きっと就職先の施設で役に立つから。それから、資格は在学中に取っておくように!」と、現場を知る先輩ならではのアドバイスをいただきました。
   彼女たちの福祉に対する熱い想いは、日々の貴重な経験を糧に、明日へとより大きく膨らんでいるようです。

 「人と心が響きあうような人間性を学生時代に身につけて欲しい」と語る郷原さん。上司の方に伺いました 人の痛みを自分の痛みにできる優しさと積極性を求めています
校風を引き継ぎ福祉の現場で力を発揮してください

専門的に勉強をしてきた人ですら敬遠してしまう…。それが福祉の現場の現状です。これからの若い人には、学校や学部を選んだ原点をしっかりと見つめて、仕事につなげて欲しいと願っています。
   こうした中、筑紫女学園とはご縁が続いています。7年前に初めて採用した方は、まさに一目惚れでした。楚々として洗練されている佇まいに人柄がにじみ出ていたことを、今もはっきりと覚えています。事実、その方のスタッフとしての働きは素晴らしく、「先輩が良いのだから、きっと後輩も…」と筑女の学生を優先的に採用するようになったのです。もちろん、その後に出会った皆さんも期待通り。家に家風があるように、学校にも校風があるのでしょう。筑女は勉学だけでなく、マナーもしっかり身につけさせてくれる学校だと感じています。
   当施設は24年間変わることなく、「利用者主体の経営」と「地域の福祉観・障がい者観の向上」、「地域にメリットを感じてもらえる施設づくり」を理念に掲げて運営してきました。その結果、地元の方には温かい目で見守っていただけるようになりました。
   福祉スタッフにとって最も大切なのは、「人の痛みを自分の痛みにできる優しさと、積極的に人と関わっていく姿勢」です。それは学校の活動でも培われるものではないでしょうか。筑女で福祉を学ぶ皆さん、校風に恥じないよう人間形成に努め、先輩たちの後に続いてください。福祉の現場はあなたたちを待ち望んでいます。

今回の登場企業

●社名:社会福祉法人 八千代会
●設立:昭和60年3月25日
●職員数:80名
●利用者数:130余名(入寮者および 通所者合計)

●平成21年度新卒者採用予定者数:1名
●主な事業内容
   障害者支援施設(知的障がい者入所更生、通所支援、短期入所、
   知的障がい者地域生活援助)および通所授産施設の運営。


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