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![]() 皆さんは、次のような実話を知っていますか? とある小学校の五年生の教室です。授業は国語の時間で、担当の先生が児童の皆に作文を書かせていたそうです。当然教室は静まりかえっています。と、突然、一人の女子児童A子が立ち上がって、教壇に向かって来ました。そして来るや否や、「先生、お花の水を換えてきます」と言って教壇の端にあった花と水の入った花瓶を抱えて行きます。先生は呆気に取られてA子を制止できませんでした。他の児童もポカンとして行方を見守っていると、花瓶を抱えたA子が突然ころんでしまったのです。何かにつまづいたのでしょうか、花瓶は割れ、側にいた児童B子のスカートに水がかかってしまいました。A子は「ごめんなさい、ごめんなさい」と繰り返し謝っています。先生は「どうして急に花の水を換えに行くの。だからこんな風になったでしょう」と怒っています。他の児童も「あーあ」とか「何してんの」と揶揄しています。A子は濡れたB子にハンカチを渡し、掃除道具入れに行き、雑巾で床を拭いたのでした。 ひと段落して、先生が、B子を保健室に連れて行き、着替えさせています。先生が「A子さんもおっちょこちょいねぇー」と言っていると、B子が、顔を真っ赤にして「先生、違うんです。A子さんは、わざとやったんです」と言いました。「えっ?」と先生が言いました。 理由はこうでした。授業中A子が作文に詰まって下を向いていると、前に座っているB子の様子がおかしいことに気づいたのです。そわそわ、もじもじしています。そしてB子の椅子の足から水が流れていたのを見たのです。 「B子がお漏らししている。何とかしなければ皆から笑いものにされる…」 そう思ったA子のとっさに取った行動が「わざと」水をかける行為だったのです。 仏教の「慈悲」とは、楽を与えることを「慈」といい、苦を抜くことを「悲」といいます。「抜苦与楽」(ばっくよらく)です。また、その語源を調べると、「友だちの呻き声を聞く」という意味があります。A子さんの行動は、B子さんの呻き声を聞いた、まさに「慈悲」の行動だったと言えるでしょう。 |
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※「法海」とは、仏法の広大なことを海にたとえている言葉です。 |
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