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![]() 先日、ご講演をいただいたダライ・ラマ法王14世は、チベット仏教の社会では観音菩薩の生まれ変わりとして信仰され、尊敬を集めておられるそうです。 経典を紐解くと、様々な菩薩様が登場されます。お地蔵さんとして親しまれる地蔵菩薩、三人寄れば文殊の智慧の文殊菩薩、京都太秦の広隆寺にあって、国宝第一号として有名な弥勒菩薩、阿弥陀仏の脇侍(きょうじ)として有名な観音菩薩や勢至菩薩等々、数えればきりがありません。しかし、多くの菩薩様の中でもことさら有名で親しみ深いのが観音菩薩ではないでしょうか。「観音様」として、日本でも多くの信仰を集めているようです。 親鸞聖人のご和讃には、 救世観音大菩薩(くせかんのんだいぼさつ) 聖徳王(しょうとくおう)と示現(じげん)して 多々(たた)のごとくすてずして 阿摩(あま)のごとくにそひたまふ (観音菩薩が聖徳太子のお姿となって、あたかも父親や母親のように見守り、お救い下さる)とありますが、観音菩薩は様々に姿を変えて衆生を救済するはたらきをすると信仰されていました。親鸞聖人は、聖徳太子を観音菩薩の化身として尊崇されていたようです。また、ついでながら、親鸞聖人と結婚された恵信尼様はそのお手紙の中で、夫である親鸞聖人のことを心中密かに観音菩薩と拝まれていたことを記しておられます。 菩薩とは菩提薩(ぼだいさった/bo-ddhi sattva)の略語で「さとりを求める者」と解されています。特に大乗仏教では、自己一人の悟りを求めて修行するのではなく、悟りの真理を携えて、現実の中に降り立ち、衆生を教化救済するための実践(慈悲利他(じひりた)行)に身を挺する修行者として位置づけられています。そこでは、「自利利他(じりりた)」―他者の幸福のために尽くすことが自己のさとりへの道に他ならない―が強調され、仏道とは利他の道に他ならないことが教えられています。 |
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![]() ![]() 仏教は自利利他の実践として「布施」を説きます。本学園中学・高等学校では毎月の感謝日(親鸞聖人の月命日法要)に「布施」(ダーナ)を各クラスの仏教委員が集め、まとめて各種の団体に寄付していますが、残念ながら献金した先の相手の喜びが直接伝わってこないため、自利利他を実感として味わうことが難しいようです。しかし、仏教ではまた「笑顔」や「態度」も大切な布施であることを説きます。多くの生徒たちが優しい笑顔や眼差しで接してくれる時、大きな喜びが湧きます。ドアを開けて待ってくれる時、優しい思いやりに感動します。身近なところで互いに布施の心を感じつつ、本当の幸せとは何か、改めてダライ・ラマ法王の言葉を味わいたいと思います。 |
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※「法海」とは、仏法の広大なことを海にたとえている言葉です。 |
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