Chikushi Jogakuen Online Report
 
学園報トップに戻る

大学・短期大学部トピックス
高等学校・中学校トピックス
幼稚園トピックス
法海
連載企画
ご意見・ご感想

法海

 

「おつとめ(勤行)」について
おつとめ(勤行)がもつ重要な役割とは?
 筑紫女学園大学では平成19年4月より一般の方を対象に、学生ととも仏教を学ぶ『仏教専修課程』をスタートしました。私はその中で『勤式作法』の講義を担当しています。受講生の方にとっては初めて聴くおつとめ(勤行)や仏具の名前などがあり、大変戸惑ったのではないかと思います。しかし、仏教を学ぶにあたり、勤式作法には重要な役割があります。
 浄土真宗本願寺派の『宗法』に「寺院の目的は教義の宣布と法要儀式の執行である」と明記してあるように、み教えをひろめることと、おつとめ(勤行)をすることは、寺院で言えば車の両輪にあたり、真っ直ぐに進むためにはどちらも大切となります。しかし、現状は必ずしもそうではないように思います。特におつとめ(勤行)に関しては疎かになりがちです。
 勤行とは「勤行精進」を略した言葉で、怠りなく勤め、行うことを意味します。また、「信は荘厳より」という言葉があるように、浄土真宗において仏徳賛嘆である勤行は、信の表れの一つに他なりません。

勤行のルーツをひも解くと?
   ところで、すべての宗教は古代より音楽と密接な関係があります。仏教の伝来においても古い仏教音楽が伝わっています。この古い仏教音楽を「声明」(しょうみょう)といい、「梵唄」(ぼんばい)ともいいます。「梵唄」とは「梵土(インド)の唄」ということで、古い仏教音楽を意味します。すなわち、古くから伝来する仏教の古典的な声楽のことで、様々な経文などに曲譜を付けて、高下抑揚するものです。『仏説無量寿経(下巻)』に、
 「微妙
の音をもつて仏徳を歌嘆す。経法を聴受して歓喜すること無量なり 〜みみょうのこえをもつてぶっとくをかたんす。きょうぼうをちょうじゅしてかんぎすることむりょうなり〜」(注釈版四九頁)
と歌い讃える経文があります。親鸞聖人も『浄土和讃』に、
  「清風宝樹をふくときは いつつの音声いだしつつ 宮商和して自然なり 清浄薫を礼すべし 〜しょうふうほうじゅをふくときは いつつのおんじょういだしつつ きゅうしょうわしてじねんなり しょうじょうくんをらいすべし〜 」(注釈版五六三頁)
とお示し下さりました。私たちの日々のおつとめ(勤行)も、この声明の流れを汲むものです。よって、ただ経典の文字だけが伝わっただけでなく、この声明も同時に伝わり、仏教流布に大変大きな役割を果たしています。ですから、おつとめ(勤行)が盛んになることは、み教えをひろめていくうえで重要なこととなります。

勤行とは、文字通り勤めて行うことに尽きます本学・仏教専修課程における講義「勤式作法」の様子。
 昨年、仏教専修課程受講生の数名と全学礼拝(成道会)の勤行を担当させて頂きました。受講当初は勤行などとはまったく縁のなかった学生達でしたが、受講を重ねるにつれてだんだんと声の出し方や作法が身に付くようになり、全学礼拝のときは、厳粛かつ荘厳豊かな“おつとめ”をして頂きました。まさしく“勤行”は聞き置く、知り置くことではなく、文字通り勤めて行うことです。勤行の重要性を常に心がけ、努力精進したいものです。
 
執筆者プロフィール
筑紫女学園大学
非常勤講師・宗教協力員 和田 法明


筑紫女学園大学
非常勤講師・宗教協力員

和田 法明

元本願寺式務部会役者・勤式指導所講師。本学で礼拝アワーや全学礼拝などの宗教行事をサポート。また、仏教専修課程・本願寺派教師資格取得課程の「勤式作法」を担当。

※「法海」とは、仏法の広大なことを海にたとえている言葉です。

▲PAGE TOPへ


Copyright 2002 Chikushi Jogakuen