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![]() 小説としての面白さもあって、親鸞という人に強く心ひかれたが、それ以上に少年の心に印象的だったのは、内室として登場する玉日姫という女性であった。文学好きで、小説の中の女性はすでに数多く知っていたが、たぶん誰よりも美しい女性であった。玉日姫は、現在では実在を否定されているが、私にとっては今でも伝説として語り伝えられるにふさわしい女性なのである。 ある布教使の話である。ある寺に布教に行き、この玉日姫の話をしたところ、聴聞をしていたそこの住職が「それは間違いだ」と大きな声で注意したそうである。「私だって、実在の人物でないことは知っているよ。でもね、親鸞聖人の信仰を語るとき、本当にふさわしい人だと思わないかい?」 ![]() 吉川英治氏の「親鸞」は昭和35年 (1960年)、東映によって映画化された。聖人は中村(萬屋)錦之助、玉日姫は新人の吉川博子が演じた。吉川は十分に美人であったが、私には少年の頃に読んだ小説の中の玉日姫の方がずっと美しく思われた。 |
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※「法海」とは、仏法の広大なことを海にたとえている言葉です。 |
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