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![]() 「ラストエンペラー」でアカデミー賞を受賞したイタリアの名匠ベルナルド・ベルトリッチ監督は、1993年「リトル・ブッダ」を制作した。音楽は、坂本龍一が担当している。 この作品は、チベット仏教の思想として知られる「輪廻転生」や「活仏制度」がテーマである。映画の中で、ブータンの僧侶の生まれ変わりとみなされるアメリカ人の少年に、母親が「仏伝」を描いた絵本を読み聞かせるシーンが出てくる。ルンビニーにおける釈尊の誕生にはじまる絵本の中の場面は、やがて動画へと移り、シッダールタ王子の宮廷生活から人間の苦悩に目覚める出家の時へと、往時の場面が再現されていく。これは映画の一場面と言うより、「仏伝」そのものである。 誕生したばかりの釈尊=シッダールタ王子が、「七歩」歩いたことは、「迷いの六つの世界を超えられた」ことを示すエピソードとして有名である。ベルトリッチは、王子が歩を進めるごとに、足跡に蓮の花を開かせ、この伝承を実に美しい場面に仕上げている。 釈尊が老人・病人・死人に遇われ、「世の非常を悟り」出家を決意された「四門出遊」の場面は圧巻である。群衆の大歓声に迎えられ祝福の華が乱舞する中、生まれて初めて王子が城外へ向かうシーンを構想するとき、彼の眼前には、インド・サーンチーの仏塔における「出城」の浮彫りの画面が、立ち現われていたのではないだろうか。 |
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※「法海」とは、仏法の広大なことを海にたとえている言葉です。 |
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