筑紫女学園報No47 6月1日発行
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「仏伝」と映画「リトル・ブッダ」

映画「リトルブッダ」と浮彫りの画面 仏教の開祖「仏陀釈尊」の生涯を伝えるものを「仏伝」と呼ぶ。それは、インドをはじめアジア地域において、経典等に文字を用いて、あるいは浮彫りや石窟寺院の壁画として今日まで伝えられてきた。近年、本学園と縁の深い西本願寺では、「浄土三部経」や『歎異抄』等をアニメーション化して、ご門徒への伝道の一環として発行している。そのシリーズの中に、「仏伝」や「仏弟子の物語」も含まれている。
 「ラストエンペラー」でアカデミー賞を受賞したイタリアの名匠ベルナルド・ベルトリッチ監督は、1993年「リトル・ブッダ」を制作した。音楽は、坂本龍一が担当している。
 この作品は、チベット仏教の思想として知られる「輪廻転生」や「活仏制度」がテーマである。映画の中で、ブータンの僧侶の生まれ変わりとみなされるアメリカ人の少年に、母親が「仏伝」を描いた絵本を読み聞かせるシーンが出てくる。ルンビニーにおける釈尊の誕生にはじまる絵本の中の場面は、やがて動画へと移り、シッダールタ王子の宮廷生活から人間の苦悩に目覚める出家の時へと、往時の場面が再現されていく。これは映画の一場面と言うより、「仏伝」そのものである。
 誕生したばかりの釈尊=シッダールタ王子が、「七歩」歩いたことは、「迷いの六つの世界を超えられた」ことを示すエピソードとして有名である。ベルトリッチは、王子が歩を進めるごとに、足跡に蓮の花を開かせ、この伝承を実に美しい場面に仕上げている。
 釈尊が老人・病人・死人に遇われ、「世の非常を悟り」出家を決意された「四門出遊」の場面は圧巻である。群衆の大歓声に迎えられ祝福の華が乱舞する中、生まれて初めて王子が城外へ向かうシーンを構想するとき、彼の眼前には、インド・サーンチーの仏塔における「出城」の浮彫りの画面が、立ち現われていたのではないだろうか。

ミニ解説 仏教用語「南無」  サンスクリット語「ナム(nam)」「ナモー(namo)」の音訳。(nam−)は「腰をかがめる」「おじぎをする」が最初の意で、そこから「敬う」「帰依する」という意味が出てきました。
 南無阿弥陀仏(なもあみだぶつ)とは「阿弥陀仏に南無いたします」という意味です」。
※「法海」とは、仏法の広大なことを海にたとえている言葉です。
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