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毎年、大学の夏休みもほぼ終わろうとする頃、本学の宗教教育部が主催し、人間文化研究所所属の仏教研修生が企画しての国内仏跡研修旅行を実施しており、関西地区と九州地区を1年交替で訪れることにしています。
今年度は、関西地区への研修の年にあたっていましたので、京都を中心に遷都一三○○年祭に沸く奈良にも巡ってきました。研修旅行に参加してくれたのは学部の学生たちに加え、本学が社会人の方にも仏教や真宗のみ教えを深く学んでいただければと数年前に開設した仏教専修課程の受講者から数名が参加しました。そして、28名の参加者中、18名が本山(西本願寺)御影堂にて帰敬式を受式しました。
帰敬式とは、「阿弥陀如来・親鸞聖人の御前で浄土真宗の門徒としての自覚をあらたにし、お念仏申す日暮を送ることを誓う、私たちにとって最も大切な儀式です」と本山参拝志納部の案内にはありますが、私たちが真の仏弟子として歩みだし、これまでの自分とは違った、新しい自分の誕生を意味するものでもあるのです。 |
私のように、浄土真宗の僧籍を持つ者は、僧侶となる時に一度は剃髪を行い、髪の毛を剃り落としますが、この時の儀式を「得度式」と言います。しかし、帰敬式では剃髪をすることはなく、ご門主が受式者の頭を儀式用の剃頭刀で軽くなでられるだけです。もともと真宗では出家して仏弟子となるのではなく、日々の生活(在家)のまま、お念仏を唱えることで仏弟子となるわけです。帰敬式は得度式に由来しているとも言われており、帰敬式のことを「おかみそり」というのもその表われではないでしょうか。 |
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帰敬式が終わると、新しく誕生した自分がいるわけですので、新しい名前をご門主から授かります。これが「法名」と言われるものです。浄土真宗では戒名という言葉は用いません。戒名は厳しい戒律を守り仏道修行をした人に授けられるものであり、真宗のようにすでに阿弥陀さまに救われている私たちに戒は必要ありません。宗祖親鸞聖人は自らを「愚禿(ぐとく)釋親鸞」と名のられていますが、在家の一人としての仏弟子であるとして「釋親鸞」と名のられているのです。ですから法名はお釈迦様の弟子として「釋○○」の二文字となります。今回帰敬式を受式した18名も仏弟子としての名前を授かりました。 |
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帰敬式を受式するためには、所属寺の紹介が必要となりますが、それ以外には特に大きな制約はなく、思い立った時に受式されればいいわけです。人生の節目節目や、地方の方は本山に参拝される折などに受けられるとよいでしょう。宗門関係の大学などでは二十歳の成人を迎えた学生を対象に希望者を募り、帰敬式を受ける機会を設けてあるところもあります。皆さんも仏弟子となる意義を理解し、帰敬式を受式されてはいかがでしょうか。 |