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![]() ![]() 日本のことわざに「袖触れ合うも他生の縁」というものがありますが、この言葉の中にでてくる「他生」をひらがなで書いておき、漢字に変換するという作業を学生にさせたところ、正しく答えられたのは全体の1割程度で、大半の学生が「多少」と答えていました。 仏教の教えの中では、「前世」「現世」「来世」という「三つの世界」があるわけですが、このことわざにいう「他生」とは「前世」を意味しています。ですから、袖が触れ合うような些細な出来事も前世からの決まりごとであり、その出会いを「縁」と呼ぶわけです。そして、私たちの日常生活も実は様々な人々とのかかわりあいの中で成り立っているのですが、その事に気づかずにいることが多いのです。 お釈迦様が悟りを開かれ、サルナートにて説法をされたのもこの「縁」についてだったわけですが、「この世にあるものは全て何らかのかかわりあいの中にあり、互いが助け合い、支えあっているからこそ存在がある」とお弟子さんに向かって教えを説かれたわけです。ですから「ご縁を大切に」というのはお釈迦様の教えに他ならないのです。 |
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![]() ![]() ところで、この「縁」というものを小さな子どもたちに教えることはなかなか難しいものでもありますが、食事時の「いただきます」や「ごちそうさま」という言葉を通してその教えを伝えていくことができると思います。何故、食事時に手をあわせ「いただきます」や「ごちそうさま」と言うのかを幼い時に理解させておくことは大切なことでもあります。多くの人々のかかわりによって様々な食材が作られ、自分自身の食事となっていることを感謝する心の表れが食前、食後の言葉となっているわけです。 仏教保育にとって大切なことは、お釈迦様の教えをいかに保育の活動の中で実践していくかといことですが、やはり幼児期において他者への「思いやり」や「感謝の心」を教えていくことが仏道成就へとつながっていくと思います。「感謝の心」は「優しさ」の表れでもあります。最近は食事時に手を合わせないだけでなく、食前、食後の言葉すら言わない子どもたちも増えてきています。子どもたちだけでなく、本学の学生たちにもその傾向が見受けられるのはいささか残念に思います。声には出さなくとも、せめて食前、食後に手を合わせる仕草ぐらいはしてほしいものです。 仏教保育とは、日々の保育活動の中で、常に多くの人々とのかかわりにより生かされていることへの「感謝の心」を持てる子どもを育てていくことにほかなりませんが、その保護者の方々への啓蒙もまた大切なことではないでしょうか。 ![]()
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![]() ![]() ![]() ![]() 専門は異文化間教育をベースにした幼児教育や児童文化の研究。長年にわたり初等教育の現場とかかわってきたこともあり、様々な教材・教具の作成に精通している。コンピュータを用いた仏教指導用教材の制作でも、過去数回にわたり、教育ソフトコンクールでの入賞経験を持つ。論文「国際理解教育研究―内なる国際化・教室からの異文化理解―」「現代社会と真宗教義―異文化間教育とのかかわりの中で―」など。 |
※「法海」とは、仏法の広大なことを海にたとえている言葉です。 |
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