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大学・短大部トピックス
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聴覚に障害を持つ学生への「ノートテイク」に取り組む学生たち
ここでは本学人間福祉学科の学生たちを中心に進められているこのボランティア活動について、サポートする側・される側、双方の立場の学生からの報告を紹介します。

この活動を通じ、「聞く」と「聴く」の違いを実感!

【ノートテイカー】佐藤亜沙子/大学 人間福祉学科4年
 聴覚障害学生と同じ講義を受講していたある時、「講義が分からない」と言われ、横で簡単なメモを取り始めたことがこの取り組みのキッカケです。その後、本格的にノートテイクに取り組みたいと思い、福岡高等聾学校の『情報サポート講習会』で学んだ後、活動を開始しました。最初の頃は、“聴きながら要約し、書く”という一連の動作の繰り返しは、想像した以上にたいへんでした。実際、先生から発せられるすべての言葉を書き写して通訳することは困難なので、いかに要約するか、略語を上手く使うかということをいつも頭に入れながら、ノートテイクしています。
 私自身、この活動を始めて、価値観や自分の講義の受講態度が“聞く(自然に聞こえてくる)”から、“聴く(意思をもって念入りに聴く)”へと大きく変わりました。この先、ノートテイクという活動をより多くの人に知ってもらい、ともに活動をしていただける方が増えていったらと願っています。

これまで体験できなかった情報を得ることの楽しさを体感!

【ノートテイカー利用者】田辺絵弓/大学 人間福祉学科3年
 ノートテイクしてもらうようになってから、大学の授業には膨大な情報があふれんばかりに出てくるということを知り、驚きました。例えば、授業の細かい内容や質疑応答、先生自身の話など様々なことです。このような情報をノートテイカーにリアルタイムで文字に変えてもらうことで、高校時代まで体験できなかった様々な情報を得ることの面白さや楽しさを感じることができ、ノートテイクをしてくれる皆さんにとても感謝しています。これからもノートテイクしてもらいながら興味深い授業を受け、さらに知識を深めていきたいと思います。


私の想いに共感してもらえたら…全国の書店に並ぶことになった私の詩集

 私が詩を書き始めたのは小学3年生の頃。私の通っていた小学校に絵本作家の田中ひろこさんがいらした際、私の詩を褒めていただいたことがきっかけです。それから私は、いろんな雑誌に自分の詩を投稿するようになり、そこで掲載に至ったり、賞をいただくことでさらに自信を深め、いつしか私の中で「詩」が誇りとなっていきました。
 そうして、私の想いや、それを言葉にしたものを、もっとたくさんの人に読んでもらいたい、評価してほしいという気持ちから、いくつかの書き留めていた詩を出版社に送ったところ、自分でも驚くほど評価していただき、優秀作品として書店に並ぶことになったのです。しかも、自費出版とは異なり、出版社からも費用を負担していただくという協力出版という形で、全国の書店に本を並べることができるという嬉しいものでした。とはいえ、編集段階では、いろんな場面で悩むこともしばしば。例えば、表紙はどうしようか?とか、あとがきには何を書こうか?とか。でも、悩みながらも一つひとつのことに前向きに取り組むことで、自分に対するさらなる可能性を見出せた気がするし、実際、成長できた部分もいろいろあると思っています。
 今回の私の作品『あなた色』は、”過去から現在にかけて抱いてきた「想い」は、未来に向けて大きく成長するための大切な宝物“ということを、私なりの言葉にして書き上げました。この作品を通じて、そんな私の想いを、一人でも多くの人に共感してもらえたら嬉しいですね。


より良いインターネット環境を求めてFITBUSの実験に取り組んでいます

 私は平成15年度から、総務省が進めるITビジネスモデル地区構想推進計画の一環として、ルート株式会社らとともに「マルチプラットホームモバイルルータ」(通称MPMR)の研究開発を行ってきました。MPMRとは、PHSや無線LANを利用して、移動しながらも各地点でより良いインターネット環境を提供するものです。
 そして、今年の2月15日から同年3月31日の間、MPMRの実用性を検証するために、「西鉄100円循環バス(内回り)」を使用したFITBUS(Fukuoka Information Technology BUS)実験(http://www.fitbus.org)を実施しました。
 FITBUS実験では、MPMRを用いてインターネットに常時接続している液晶表示端末(FITBUS端末)をバス内に設置しました。FITBUS端末が広告やニュース、天気予報といった時事情報をインターネットを通して取得し、画面に表示することで、それらの時事情報をバスの乗客へ提供できました。現時点では、まだ利用者の声を聞けていませんが、何かのお役に立てていればと願っています。
 また、私たちの実験がきっかけで、インターネットに興味を持った人が一人でもいらっしゃれば幸いです。

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授業って面白い

「授業=勉強=難しい」こんなイメージを持つ方も多いことでしょう。でも、あちこちの教室から聞こえてくるのは、笑い声や「え〜ッ!」と驚く学生の声。そこでこのコーナーでは「ウワサの講義」に潜入し、その模様をお伝えします。

人類存続のために必要な人とは?その決定で良かったのかと問い直そう

 「人類を存続させるために、滅亡間近な地球から6人を選んで地球環境とよく似た惑星へと送り出す。候補者は様々な立場と年齢の男女10名。その中から人類の行く末をかけて搭乗員を選択しよう」―これが「社会福祉援助技術演習」2回目の授業となりました。ここで問われるのは、それぞれの価値観です。
 さっそく4班で行われて演習開始。その話し合いに耳を傾けると、自分と他者の価値観の違いに気づく機会にもなっている様子。「私なら…」「社会に必要なのは…」「子孫繁栄を考えると…」と、活発に意見が飛び交います。その進行を見守る先生の「他の人が選んだ候補者に『なぜ?!』と思ったら、その判断の背景を理解するよう努めること」「障害児に敏感になっていないかな?」という言葉が、演習が持つ意味への認識を促します。
 そして30分後には、選考順位と選考理由を発表。他班の結論を聞きながら、学生たちは「自分たちの価値判断は本当に良かったのか?」と、問い直しているようでした。
 総括では「今の、モヤッとした気持ちを大切にしてください」と山ア先生。ソーシャルワーカーに不可欠な倫理へ導く価値判断、心の“ものさし”は、こうして育まれています。

■CLASS DATA■
  受講者数:26名
開講日時:木曜日1限(9:10〜10:40)
 
授業の狙い:社会福祉援助技術の基本となる個人に対するソーシャルワークの基礎技能の修得。
講義内容:ソーシャルワークの価値・倫理の実践、展開過程、面接、観察とその技法および、評価・効果測定、記録法、ケアマネジメントの技法をテーマに展開。少人数の班に分け、想定した具体的援助技術場面に沿って実技指導や事例を活用した授業を行う。
先生よりひとこと 担当:本学文学部 人間福祉学科 山ア安則 助教授
ソーシャルワーカーとしての「価値」と「倫理」を学ぶ場です
ソーシャルワーカーには、専門職としての知識と技術、そして「価値」と「倫理」が不可欠です。しかもこの価値とは「人はすべてかけがえのない存在である」、また「社会には強い人も弱い人も存在するのが当たり前である」という人間観と社会観に裏づけされたソーシャルワークの根底的な価値。それを根拠に判断を律し、行動を導く指針が「倫理」です。よって授業では、福祉を学ぶ学生の価値・倫理を高めると共に、知識・技術を体験的に習得することが大きな目標のひとつ。また、この演習を通して私自身も若者の価値観を理解し、より良い人間関係と社会づくりに役立てていきたいと思っています。

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就職の筑女
本学園の学生をご採用いただいている企業から伺った、採用へのお考えや職場の状況について紹介していくこのコーナー。
今回は佐賀県における高齢者総合福祉施設のパイオニアにご登場いただきました。

誰もが安心して老後を迎えられる社会を目指して

 寿楽園が誕生したのは昭和27年。「戦争で子どもを失い、行き場を失った親たちを守りたい」との思いが創設の大きな原動力でした。それから53年の時が流れ、日本は豊かになりましたが、困っているお年寄りがいないわけではありません。潤いある生活を送る人ばかりではないのが現状です。むしろ、高齢者福祉へのニーズは増大しています。
 こうした状況を受けた現在、寿楽園は高齢者総合福祉センターとして様々な機能を持つようになりました。でも、私たちのポリシーは創設当初と変わりません。誰もが安心して老後を迎えられる社会づくりへの貢献が目標です。


毎年面接の際に筑女の徹底した教育観を感じています

 高齢者福祉には、「お年寄りが大好き」なスタッフが不可欠。そうした意味で、大学出身者は実習量において専門学校出身者には及びませんが、お年寄りを大切に思う気持ちと情熱があれば大丈夫。実際、筑女の人間福祉学科から初めて採用した人は、半年以上もボランティアなどで通い続けてくれた結果、入社時には他の人に抜きん出る存在になっていました。今は9名の卒業生がスタッフとして働き、今年も3名の採用が決まるなど、筑女には高い信頼を寄せています。
 面接時に、筑女生から1本筋が通った印象を受けるのは、仏教をベースとした教育が徹底されているからではないでしょうか。社会に出て、まず問われる人間性の豊かさを感じています。

利用者もスタッフも「ここで良かった」と思える施設へ

 福祉の仕事はやりがいがありますが、決して楽ではありません。だからぜひ、自主研修やボランティアを活用して、現場への理解を深めて欲しいと思います。実際の現場を知らないまま4年間も勉強し、仕事に就いた途端「こんなはずじゃなかった」と辞めていくのでは、あまりに残念だからです。その上で、思いやりや感謝の気持ちを忘れず、お年寄りに「ここに来て良かった」と言っていただける施設を一緒に目指しましょう。利用者の立場で最良を考える毎日が、働く側にも「ここに勤めて良かった」と思える日々になることを切に願っています。


今回の登場企業
●社名:社会福祉法人 寿楽園
●設立:昭和27年10月13日
●入所者数:280名
●従業員数:317名
●事業内容:佐賀県・福岡県・北海道・神奈川県で高齢者総合福祉事業を展開
●新卒者採用実績:21名(06年4月)

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