No.14
2024.03.22

互いに認め合える友人は
筑女で手に入れたかけがえのない財産。
“しなやかさ”を忘れずに
仕事もプライベートも大切にしていきたい。

Profile 宮房 玲奈 さん
九州大学 整形外科医局員
筑紫女学園中学校・高等学校|2013年卒業
01現在のお仕事について教えてください。
2019年に佐賀大学を卒業後、2年間の初期研修を経て九州大学整形外科学教室に入局しました。現在は医師としてさまざまな病院に勤務し、骨や筋肉、関節、神経など、運動器全般の疾患の治療にあたっています。病院を訪れる外来の患者さんの診察や、整形外科手術が必要な患者さんの対応、術後の入院患者さんのケアなども私の役目です。

勤務時間外は学会で発表するための研究や論文作成を進めています。2025年2月には専門医試験を受ける予定なので、最近は勉強にも力を入れる日々です。
02筑女に入学したきっかけや入学当初の印象を教えてください。
姉が通っていて、毎日とても生き生きとしている姿を見ていたことがきっかけでした。姉が学校生活を伸び伸びと謳歌している様子から、一人ひとりの個性を尊重する校風が感じられ、自分も入学したいと思いました。また、制服や持ち物、髪型などを考えるのが面倒だと感じていたので、校則が厳しい点も私には魅力に感じましたね。

入学後は、校舎がきれいで広く、都会だけどほどよく自然豊かなところだなという第一印象を抱きました。購買部や食堂など「食」が充実している点もうれしいポイントでした(笑)。
03筑女時代、特に思い出に残っていることはありますか。
中高通じてハープ部に所属していました。当時はまだ創設されたばかりで楽器の数も少なく中高合同で活動していたんです。早いうちから高校の先輩と接する場があったのは、まさに中高一貫ならではの良い刺激でしたね。

そこで出会った先輩への憧れもあり、中学3年で生徒会長に立候補しました。文化祭や体育祭など、生徒たちが楽しく関われる学校行事を考えたりスローガンを決めたりと、たくさんの経験をしました。価値観が違う人たちが集まって同じ方向を目指すのはそう簡単なことではありませんが、諦めずに伝え続けたり人の意見に耳を傾けたりすることで物事が大きく動くということも、ここで学んだように思います。
04当時関わりの深かった先生についてお聞かせください。

担任の土居先生は、生徒一人ひとりにちゃんと目を向け、やりたいことを全力で応援してくださる方でした。勉強だけではなく、クラスマッチやコーラスコンクールなどの行事にも本気で挑む先生で、今でも連絡を取り合う仲なのですが、当時のことを話してはよく盛り上がっています(笑)。

大学受験の前に成績が伸び悩み、不安になったときに私のタイプを見て戦略を立ててくださる先生もいました。このように、筑女には常に生徒に伴走してくださる先生が非常に多かった印象です。

05卒業して感じる筑女の魅力はありますか。

筑女で出会った友人は、自分をしっかり持っていながらも人の価値観を尊重してくれる人ばかり。たとえ人と違うものが好きだと声をあげても、理解し、共感しようとする空気があり、とても居心地の良い環境でした。

また、大人になっても仕事や家庭など、自分のやりたいことに向かって全力で頑張っている友人が多いことも筑女の魅力です。現在働く中で筑女出身の先輩に出会うことがよくあるのですが、皆さん本当に素敵で、優しくしていただいています。

06当時の学びで、今の日々につながっていることはありますか。
もちろんです。筑女は女子校なので「これは女子の役割」という文化がなく、全て自分でやることが当たり前でした。私が今いる整形外科医の世界はまだまだ女性が少ない環境ですが、臆せず飛び込めたのは筑女で過ごした時間があったからだと思います。

また、筑女ならではの仏教教育が日常に染み込んでいる実感もあります。仕事で辛いときに「生きることはそれ自体が苦しみである」という教えを思い出しますし、誰かに対して苛立ったり落ち込んだりした時には「過度に期待した私のエゴだった」と自分を俯瞰して見ることで冷静になれます。特に心に留めているのは、人間は脆くいつ死んでもおかしくない中で、今の命があることに感謝しつつ、一期一会の出会いを大切にし、生かされている"いのち"で1日1日を懸命に生きようという考え方です。
07今後の目標を教えてください。
プライベートでは結婚して数年になります。仕事の関係で別居婚の時期もあったのですが、やはり家庭も大切にしたい。今後は時短勤務や当直のない働き方も取り入れて後輩たちのロールモデルになれるよう模索中です。高い壁が立ちはだかり大変なこともありますが、目標に向かって力強く努力しながらも柔軟さも忘れない、筑女で学んだ“しなやかさ”を大事にしていきたいですね。

整形外科医としてのキャリアはまだ浅いので、専門医の資格を取得し、さらに成長していくことが目標です。また、末永く多くの人の役に立てるよう、自分自身の健康にも気をつけて食生活や運動を意識していきたいと思っています。気分が乗らないときもありますが、そんなときには土居先生の口癖だった「どうせやるならちゃんとやる」という言葉を思い返します。自分の目標や叶えたい夢のために、何事もしっかり取り組む。まだまだ道半ばなので、これからも頑張ります。
08今や未来の筑女に伝えたいことはありますか。
これからも「女子校」であり続けてほしいと願っています。どんなに時代や社会が変わって選択肢が増えたとしても、やはり女性には女性ならではの悩みや乗り越え方があると思うんです。

壁にぶち当たったとしても、決して負けることなく“しなやかに”生きていける力を備えた女性が、筑女からたくさん誕生することを期待しています。