No.12
2023.3.31

留学での体験を機に
日本語スクールの経営者に。
筑女で過ごした全ての時間が
今につながっている。

Profile 花田 絢子 さん
チャイム語学スクール 代表
筑紫女学園高等学校|2002年卒業
筑紫女学園大学 文学部 アジア文化学科|2006年卒業
01筑女に入学したきっかけを教えてください。
高校入学のきっかけは、歴史があり、通いやすい立地だったことです。今とは違う古い校舎でしたが、とても良い雰囲気で惹かれました。高校の授業の中で世界史や古典に興味を持ち、中国史や中国語、アジア文化について学びたくて筑紫女学園大学に進学しました。当時、語学だけじゃなくアジア地域の文化が学べて、1年間留学しても4年間で卒業できる大学はあまりなかったように記憶しています。
02高校時代、特に印象に残っていることはありますか。
世界史の先生が話してくださる中国の歴史がすごく面白くて、もともと語学や文化、漢字が好きだったこともあり「大学でもっと深く学びたい」と考えるようになりました。
高校時代は毎週礼拝があり、仏教の授業や法話を聞く機会がたくさんあって新鮮でした。当時は「面白いな」と聞いているだけだったのですが、その頃の教えは大人になった今の方が関わる機会があり、「あの頃、知識を身に付けていて良かった」と感じることが増えています。
03大学生時代の思い出はありますか。

当時、アジア文化学科はまだ設立されて間もない頃でした。オープンキャンパスに足を運んだ際に先生方が非常に熱心に説明してくださったことを覚えています。かねて中国語に興味を抱いていたこともあり「ここなら思うように学べるかもしれない」と、進学を決めたんです。大学では学食で友達と待ち合わせをして宿題をしたりおしゃべりをしたり、楽しかった思い出ばかりですね。アジア文化学科室は、空間もアジアンテイストで、先生とおしゃべりする機会にも恵まれ、とても居心地が良かったことをよく覚えています。
あとは、入学時から留学を目標にしていたので単位をたくさん取れるように頑張りました。

04留学についてもお聞かせください。
3年生の頃に中国の北京語言大学に1年間通いました。留学=留年しなくてはいけないというイメージを持たれがちですが、留学中に取得した単位は、大学での単位として認定されるため、学年が遅れることなく卒業できることも、私にとっては大きな魅力でした。通っている学生たちが多国籍だったので、中国語以外にインドネシア語や韓国語など、さまざまな言語に触れられたのもとても良い機会だったなと思います。
そして、ここでの出来事が私の人生のターニングポイントとなりました。留学中に中国人の友人から中国語を教わる中で、逆に私も日本語を教えてみたのですが、なかなか思うように教えられなかったんです。「どうして私はできないんだろう」と、悔しさが込み上げてきて、帰国後は日本語教育の授業を履修し、日本語教員の資格を取得したんです。4年生なのに毎日のように学校に通っている学生は、結構珍しかったと思います(笑)。
05資格の勉強は大変でしたか。

自分の興味がある分野だったので、ひたすら楽しかったです。当時、私に講義をしてくださった教授が「第二外国語をやっていると、言語を学ぶ人の気持ちに寄り添えるから教えるときに役立つよ」とおっしゃっていたのをよく覚えています。日本語、英語に加えて、中国語を学んでおいて良かったと思いましたね。

06現在のお仕事を教えてください。
日本企業に勤める外国人の方に日本語を教える語学スクール「チャイム語学スクール」を2011年から経営しています。現在はほとんどがオンラインレッスンで、受講生は国内外にいます。
07現在のお仕事を始めるきっかけを教えてください。
卒業後は福岡の観光系の企業で働いた後、2年ほどシンガポールに移住して現地の企業に勤めました。シンガポールには、働きながら学校に通っている女性たちが非常に多かったんです。彼女たちの姿を見て「私ももっと色々頑張ってみたい」と感じ、帰国した後はまた大学院で学び直しをしました。それまでは語学や文化を学んできましたが、社会人経験も経て、改めてビジネスについて学ぶ機会を得ました。
ちょうどそのころ自分の次のキャリアも考えていた時期でした。それまで学ぶ中で、語学スクールはどこも平日毎日通わなくてはいけないところばかりで、週末だけや夜間に教わる場所がないということに気づいたんです。留学を経験し、語学や文化を学んできた自分だからこそ、そういうスクールを開けば多くの人の役に立てるのではないかという気持ちで走り出しました。初めのうちは小規模でしたが、最近は少しずつ受講生が増えてきています。
08筑女での学びが今の仕事に生きていると感じますか。

高校や大学時代から明確に今のような未来を思い描いていたわけではありませんが、振り返ってみると今に生きているものばかりですね。何より、中国語やアジア文化を広い視野で学べたのはこの学科ならではですし、日本語を教えることに興味を持ったのも、留学を経験したからこそ。また、大学でアジア圏のさまざまな宗教や文化を勉強していたため、留学先ではもちろん、就職先でも多国籍の方とコミュニケーションをとる際に非常に役立ちました。筑女で過ごした日々のおかげで今があると感じますね。

09卒業して感じる筑女らしさは?

筑女はみんな仲が良くて、真面目に勉強をする人が多いという印象です。大学は就職サポートにも力を注いでいて、面接練習も手厚く、企業の方からも良いイメージを持たれやすかったように思います。

10当時の同級生とのつながりは今もありますか。

月に一度のペースで会っている友人もいて、つながりは強いですね。当時とはみんな環境がガラリと変わって、バリバリ働いている人もいれば結婚をして子育てに注力している人もいてさまざまですが、学生時代の友人は損得なしで付き合える、とても貴重な存在だと思っています。それから、同級生はもちろんですが、縦のネットワークも大切にしてほしいと考えています。私は学生時代、学食で先輩を見つけると積極的にあれこれ質問をしていました。例えば「留学をするために必要な情報を知りたい」と、留学経験がある先輩に声をかけるのとかけないのとでは、結果に大きな差があると思うんです。昔は今ほどSNSが発達していなかったので、快く教えてくださった先輩方には本当に感謝しています。
留学したい方は留学経験のある先輩に話を聞いたり、就職に悩んでいる方は卒業生に連絡してみたりと、積極的に学校のコネクションを活用してほしいです。もちろん私にも大歓迎です!

11今後の目標を教えてください。
「子どもがいるから」とキャリアを手放すのではなく、うまく擦り合わせることができる環境をつくっていきたいです。今はオンラインも発達しているので調整がしやすくなっているのも幸いしていると思います。この仕事は国境を越えてでもできるのが大きなメリットでもあると思うので、今後どんどん拡大していけたらとも考えています。