今月のことば

2020年のことば

2020.3

    春3月です。日本では「年度末」となります。だから卒業式の月ですし、2019年度は今月で終わり、4月から2020年度となります。節目の月です。節目の時には、過去を振り返り、その反省を元に次の目標を決めたり、決意を新たにします。

 さて、皆さんは「挫折」を味わったことがあるでしょうか。私事ですが、公立高校の受験に失敗し、私立高校に進学することになりました。その高校には、やりたかったラグビー部がなかったため、大きな挫折感を持ったことがあります。しかしながら周りの人の助言もあって、進学先の高校で何ができるかを考え、色々なことにチャレンジし(例えば体育祭の応援団長)、充実した高校生活を送ることができました。

 仏教の開祖、釈尊は29歳で出家し、6年間の苦行を行われました。仲間から「ゴータマは死んだ」と言われるほどの激しい苦行でしたが、「苦行では覚りを得ることはできない」と、苦行をやめて菩提樹の元での瞑想に入られます。苦行はある意味失敗でしたが、無意味ではありませんでした。むしろその経験を生かすことによって、後に覚りを開くことができました。

 また、浄土真宗の開祖、親鸞聖人は、9歳で出家し、比叡山に入られました。29歳になるまでの20年間、様々な修行をされましたが、修行すればするほど煩悩という苦悩がいよいよ明らかになり、ついに山を下りて後の師匠である法然聖人の元を訪ねられたのでした。これもひとつの挫折でしょう。ですがその挫折を通して、真に生きる道を見出され、一生涯その道を極められていかれました。

 古今東西の発明家やスポーツ界で活躍した人も、決して順風満帆にその道を歩んだわけではありません。失敗や怪我で挫折や苦悩を味わいながらも、立ち上がり、歩みを進めていったのではないでしょうか。

皆さんが歩んでいく道は決して平坦なものではないでしょう。失敗や挫折はできれば避けたいものですが、必ずそういう場面にあうことがあります。仏教ではそのことを「逆縁」といい、またそのことを「逆縁最も尊し」と表現されます。その時は気づかなくても、後から「それらは無駄なものではなかった、私にとっての尊い縁だったのだ」と考えられることです。

今思い描いている夢や志をしっかり持っておくことで、失敗や挫折を味わったときでも、諦めず立ち上がることができると思うのです。

                             文責 宗教科