今月のことば

2020年のことば

2020.2

    2月15日は、お釈迦様が涅槃(ねはん)に入られた日です。お釈迦様は、今から2500年前にインドのカピラ国という小さな国の太子として誕生され、人生の老病死の苦しみを解決しようと29歳で出家をされて35歳で覚(さと)りを開かれ仏陀(buddha:目覚めた者・悟った者)と成られました。その後、45年の間、中インドを中心に伝道生活を続けられて、クシナガラという場所で涅槃に入られました。そして、お釈迦様を慕う弟子達によってそのみ教えが経典にまとめられて、仏教の教えが世界へと広まり今日まで伝えられています。

 さて、その“仏教”とは何かと問われたら、「仏(釈尊)の教え」(名称)、「仏=法の教え」(内容)、「仏に成る教え」(目的)と表現されます。お釈迦様の教えは、よく“八万四千(はちまんしせん)の法門”といわれ、その意味はお釈迦様の教えは無数にあるということを表しています。そして、仏教の目的は何かというと、それは私が仏に成ることであると説かれます。私が仏に成るとは、いったいどういうことでしょうか。

 お釈迦様は、“縁起の道理”に目覚め、覚りを開かれました。そして、仏に成るとは、この縁起の道理に目覚めることをいいます。縁起の道理とは、私という存在は様々な因縁によって生かされているということです。わたしのいのちの誕生を考えてみても、私たちは自分の意思で生まれてきたわけではなく、気づいてみたら“私”としての人生を歩ませて頂いています。そのことを深く考えたとき、お釈迦様は“私”とはたくさんのご縁によって“私”となってくださっている”生かされて生きている“といういのちの事実、本当の相(すがた)に目覚められたのです。仏に成るとは、その生き方に気づかせて頂き、生きていくことです。しかし、私たちは、“私が私が”と自己中心的にものごとを捉えて、自分に執着する生き方ばかりをしてしまいます。そのような生き方の自分を、お釈迦様の“縁起の道理”を通して見つめたとき、今まで見えていた自分中心の見方とは違った新たな視点や価値観、生き方が恵まれていくのではないでしょうか。また、このように自分に今までなかった視点や価値観へ考え方が変わっていくことを「パラダイムシフト」といわれます。この言葉は、もともと科学の分野で考えられた言葉ですが、文学や政治や宗教の分野においてもその時代の考え方や思想について、大きく価値観が転換したり変化したりする意味で使われるようになりました。

   今月のことばに示されている“成る”生き方とは、この「パラダイムシフト」という言葉が表すように、今までになかった自分の生き方価値観へと転換されて、新しい自分へ人として成長していくことではないでしょうか。そして、皆さんが学校生活の中で日々学習に励み、多くのことを学び経験して新しい価値観を身に付けるということも、新しい自分に成っていく歩みとしてとても尊いことです。

 これからも、新しい自分へ“成る”歩みを続けていきましょう。

 (文責 宗教科)