今月のことば

2019年のことば

2019.4

新入生のみなさん、入学おめでとうございます。また、在校生のみなさんも新年度にあたって新たな環境での出遇いを大切にして、頑張っていきましょう。

私たちは、ひとつの“ことば”の出遇いよって勇気づけられたり励まされたりしながら、人間関係を築き成長していきます。そして、生きていく中では、楽しく幸せなことだけではなく、苦しくて悲しい事にもたくさん出遇っていかなければなりません。皆さんが学校生活を送る中で、手帳にある“今月のことば”がひとりひとりのこころの支えとなってくれることを願っています。

さて、今月のことばには、“生きる”ということは、たくさんの「いのち」とつながっていることであると述べられています。JT生命誌研究館館長の中村桂子先生は、地球に生命が誕生して40億年、多くの生き物が様々な結びつきをもち、お互いに支え合い、豊かな生命を育んでおり、人間も含めた生物と自然との関わりを長年研究され「生命誌(biohistory)」という言葉を提唱されました。そして、中村先生は「人間は生きものであり、自然の一部である」と言われます。その上で、「地球上の生きものは全て、40億年近く前に海中に存在した細胞を祖先とする仲間である。(中略)生きものはどれも40億年近くの歴史あっての存在であり、そこには優劣の区別はなく、つながり合っている。このような仲間の一つとして人間(ヒト)が存在しているのである。

ところが、現代社会では、人間はつながりを忘れ、扇の外、しかもそれより高い所にいるかのように振る舞い、経済成長と科学技術による便利さの追求を生きる目的としている。経済的豊かさや便利さは必要だが、それを追うあまり、私たちが属している自然を壊しては元も子もない。地球温暖化を招きかねない二酸化炭素の過度の発生を抑制する必要性を、生きものとしての感覚で感じとりたい。環境破壊といわれる行為は、自然の一部である人間の心や体をも壊す。心も体も、時間をかけ、さまざまな人や自然と関わることで養われるものだからである。」と述べられています。

 改めて、私たちの「いのち」は、人間だけではなく多くの生きものたちとの関わりの中で育まれ、生きていることを考えさせられます。しかし、私たちは人間中心、自分中心という生き方でしかものを観ず、本当は長い生命の歴史の中で私たちも生きものと一部として進化をして現在があることを忘れてしまっているように思います。お釈迦様は、すべてのいのちはつながりをもって生きており、「生命あるものを害(そこな)うは聖者にあらず、すべての生きとし生けるをそこなわざるがゆえに聖者とよばるるなり」(『法句経』270)と、すべてのいのちへの慈しみの大切さを述べられます。

 新学期にあたって、自然とともにあるわたしの「いのち」のつながりについて改めて考え、恵まれたいのちに“お陰様でありがとう”と感謝しながら歩んでいきましょう。

(文責 宗教科)