今月のことば

2019年のことば

2019.01

2019年を迎えました。

 今、日本は人生100年時代といわれています。日本の政府においても「人生100年時代構想」と呼ばれる会議がもたれ、人生100年時代を迎えるにあたって教育から働き方や福祉に関わる様々な分野で議論が行われています。また、AIの急速な発達により私たちの生き方そのものも変わっていくといわれています。しかし、私たちの想像もつかない時代がめぐってきて生き方が変わったとしても、この世界の変わらない真実があると悟られたのがお釈迦様です。その真実とは、この世のすべての存在は「縁によって起こり、縁によって滅する」ということです。すべてとは、宇宙そのものから小さな微生物や物質にいたるまでのものをあらわし、それらが直接的な原因(因)とさまざまな間接的な原因(縁)によって起こっていること(結果)を「縁起」と呼ばれました。そして、お釈迦様は私たちが経験しているあらゆる事柄を、正しい縁起の道理に照らして考える時、私は様々な縁(条件)によって生かされていることへ気付かされ、その気付きが、今度は他の幸せを願う生き方へと変わっていき、「仏陀(目覚めた人)」となると説かれました。さらに、この他の幸せを願う生き方は“慈悲”という言葉であらわされました。それは、人々の苦しみや悲しみを自分の苦しみ悲しみとして共感・実感する「悲」の心として養い、同時に人々の幸せや安らぎを自分の事として喜び自身の幸せと感受する「慈」の心として育むことであるといわれます。そして、この生き方は人間であれば誰でもできる真実の生き方を意味しているのですが、このわかりきったことに対して私たちは、自己中心的な思いから幸せは自分へ、不幸なことは他人へと押し付けようと煩悩の心を起こしてしまうのです。だからこそ、私たちはいつも仏様に手を合わせ、自分の生き方を問い、過ちを反省して、少しでも正しい方向へ生き方を転換させていただこうとすることが大切なのです。

 そして、今月のことばは、自分の生き方を振り返った時、この縁起の道理によって生かされていることへの気付きのことばです。縁起の道理に目覚めた人の生き方は、親鸞聖人が「一切の有情はみなもって世々生々の父母・兄弟なり」(『歎異抄』第五条)と示されたように、他のいのちも自分のいのちのように「かけがえのない大切なもの」としていたわり合うことの出来る心豊かな生き方となって開かれてきます。

 新年を迎え、改めて私たちもこの縁起の教えを大切にしてそれぞれの目標に向かって進み、自分だけではなく他者への思いやりの心も持ちながら生きていきましょう。

 (文責 宗教科)