今月のことば

2018年のことば

2018.12

  皆さんはSociety5.0(ソサエティー5.0)という言葉を知っていますか?ロボット・人工知能(AI)・ビッグデーターなどの新たな技術を、あらゆる産業や社会生活に取り入れる。それを人間のニーズに合わせながら、社会の課題を解決していこうという動き、またはそのことでできあがる新たな社会のことを言います。別名、「超スマート社会」です。

 先日そのコマーシャルを見ました。女子高生がコンピューターの声で朝起きると、AIに向かって何か話している。ドローンが新しい靴を配達してくる。それを履いて学校へ向かう。おばあちゃんはパソコンの中のお医者さんと健康状態についてお話し中。女子高生は途中コンビニに寄ると、AIで注文していた昼ご飯を受け取り、バス停へ。そこに自動運転の小型バスがやって来る‥‥。科学技術の進歩によって、そんな時代がもう目の前に迫っています。10年後には人間が現在行っている仕事の40%はAIが替わってできているとも言われます。

星 新一さんの本(『ひとにぎりの未来』新潮文庫)の中に「はい」という題のショートショートがあり、近未来、コンピューターにすべて支配された人間の様子が描かれていました。誕生も学校も結婚も仕事も死ぬときでさえコンピューターの命令に従って生きている人間。コンピューターの指示に従っていれば安心安全な社会が展開されるのです。最初に読んだときゾッとしたのを覚えています。 

   かつて、自動車が大量生産されはじめ、庶民の交通手段となったとき、交通事故が激増しました。そのとき「車さえなければ」と庶民が蜂起し、駐車中の車を次々と破壊していくという事件がありました。捕まったリーダーが、「悪いのは車ではなかった、自分勝手な運転で、事故を起こした人間が悪かったのだ、車に可哀想なことをした」と言いました。

  私たち人間は豊かで便利な世の中になるよう、科学技術を進歩させてきました。確かにそれによる恩恵で暮らしは便利で快適になったと思います。しかし、その一方で、人間同士のいがみ合いによる殺人や詐欺事件、戦争、公害など多くの課題は解決されないままです。

 科学技術の進歩はこれからも続いていくでしょう。私たちはその時代に生きて行くに当たって、私の「こころを観る目」をしっかり養っていかなければなりません。仏教はいつの時代も変わらない本当の生き方を示してくれる教えです。世の中がどんなに変わって行っても、仏教の教えに耳を傾けながら、人間としてどう生きて行くべきか考えてみることが大切です。そして、私の生き方、他者とのかかわり方、現代の社会とのかかわり方を考えていきましょう。

                              文責 宗教科