今月のことば

2016年のことば

2016.03

 3年生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。まさに皆さんは今「美しい花」を咲かせたことでしょう。では、表に出ない「根たち」とは何でしょうか。真っ先に思いつくのは、ご両親。そしてご家族や親戚の皆さんかと思います。また先生方への感謝、友人たちへの感謝も忘れてはなりませんね。しかしそれだけではありません。皆さんが仏教の時間や、ご法話で聞いてきたように、私のいのちは、無量のいのちの働きの中に生かされています。ものの本によると、人が成人するまでに、直接関わった「人」だけで、200万人を越えるそうです。その支え、「見えない」陰の働きもあって、「美しい花」を咲かせることができるのでしょう。「願い」とは「健やかに育ってほしい」とか「思いやりのある人になってほしい」ということでしょうか。

 さて、皆さんは104歳で現役の医者として活動されている、日野原重明さんを知っていますか。TVなどのマスコミによく登場されていますが、日野原さんの活動の一つに、小学校の児童に「いのちとは何か」というテーマで講演するというものがあります。日野原さんは児童たちに、「今、勉強しているのは自分のためですね。君たちの年齢の頃は、いっぱいある時間を、自分のために使っていいのですよ。」と言い「たくさん勉強してください。」と励まし、そして「でもね、大人になったら、時間を自分のためにばかり使ってはいけないのですよ。他のもののために使わなければならないのですよ。そういう時が必ずきます。」と優しく語られます。「私のいのちはたくさんのいのちに支えられているが、私もまた、他のいのちを支えていく生き方をしていきましょう」と言われているのです。

 「恩返し」とは私が恩を感じた人に直接、恩を返していくことですが、無量のいのちの支えに生かされていることに気づくとき、恩返しだけではなく、私が感じた恩を他のものに返していく「恩送り」をしていきたいと思うのです。

最後にお釈迦様の言葉を紹介したいと思います。

「あたかも、母が独り子をいのちを賭けて護るように、そのように一切の生きとし生けるものどもに対しても、無量の慈しみのこころを起こすべし。また全世界に対して無量の慈しみの意を起こすべし。上に下にまた横に、障害なく怨みなく敵意なき慈しみを行うべし。」

『スッタニパータ』より

 

(文責:宗教科)