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![]() ![]() この日、福岡国際ホール・志賀の間にて開催した本講座には、用意していた席がほぼ全て埋まるほど…しかも老若男女、幅広い層の受講者にお集まりいただきました。開始直前の会場を見渡すと、着席するやいなや、メモの準備をされる方なども多数見受けられました。 はじめに本学小山学長から「日本人の宗教観に関する、新しい角度からの示唆に富んだお話を楽しみにしています」との挨拶の後、金児先生の経歴紹介に続いて、いよいよ講演がはじまりました。 |
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![]() 社会心理学を専門とされる金児先生のお話しは、先生が50年以上にわたって通い続ける理容室のご夫婦についてのエピソードからスタート。先生とご夫婦とのやりとりの様子をはじめ、その軽妙な語り口に、思わず聞き入ってしまいます。 そのエピソードとは――「長年夫妻が飼っていたペットが亡くなった直後、奥さんの調子が悪化。それはペット・ロス症候群と言われる現代人特有の心の病だった。ご主人がいろいろと手を尽くしても、なかなか調子が上向きにならない彼女。そんな彼女の回復のキッカケが、たまたまテレビで放映されていた寅さん映画を見て、久しぶりに笑ったことだった」――というもの。このエピソードを皮切りに、映画『男はつらいよ』シリーズと日本人の心性との関係性の分析へと、話題は移ります。 ![]() |
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![]() 寅さん映画への反応をとおして垣間見ることのできる、日本人の心性の根幹とは何か? 先生曰く「日本という場所の地勢学的な要因、つまり、恵まれた自然環境の中で生まれた“森の文化”“鎮めの文化”が、『原恩の意識』を紡ぎ出し、仏教伝来以前の時代にすでに存在していた感覚が、仏教と結びつくことで、より一層、強い心性として育まれてきた」とのこと。また、こうした心性は、「厳しい自然環境の中から生まれた“砂漠の文化”“煽りの文化”に端を発して、『原罪の意識』を根源とするユダヤ教や、キリスト教、イスラム教が誕生したこととは、まさに対照的」との分析や、その両者が歴史的に生み出してきた功罪のお話などで、多くの受講者がうなずく様子が印象的でした。 |
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![]() そして話題は、いよいよ佳境へと突入。日本人の心性をよく表わしたキーワード“おかげさま”“祟り”感覚の根源はどこから来たのか? そして、自然環境に対して“身をまかせる”“調和する”というスタンスから生まれた“慈悲”、(良い意味での)“諦観”といった日本人独特の概念などについての解説。さらに“煽りの文化”が生み出した最大の財産である「科学」が、現代日本の、特に若者たちの宗教観や宗教的行動にどのように影響を与えてきたかという点について、様々な調査を元にしたいくつかのエピソードを紹介されました。 その話によれば、「科学が発達した現代においても、宗教は衰退することなく、形を変えて存在している。しかも、仏教信仰率の高い県とそうでない県において、生活満足度調査や犯罪率調査と合わせて分析してみると、信仰率の高い県に住んでいる人々は生活にも満足し、犯罪率も低く、穏やかに感謝の念を持ちながら生活していることが読みとれる」とのこと。 そして最後に、これらの事象から、今後、私たちが歩むべき心の方向性への示唆で締めくくられ、盛大なる拍手の中、この日の講座は終了しました。 |
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※「法海」とは、仏法の広大なことを海にたとえている言葉です。 |
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